イルカに乗った人事マン

人は輝くSUN社員 ~舞台裏の熱い人事メモです!

残業手当は、取扱い注意!

とりわけ、IT業界では、熾烈な同業他社との競争がつづく。

ゲームアプリの世界では、ITエンジニアも、連日の過度の業務に追われて

半ば疲弊していて、人材の入れ替わりは激しいと聞いている。


大手のスマホアプリの企業では、アプリ開発者の新卒採用に1000万円の

年俸支給をうたって、大花火のような効果を狙っている様子に映ります。

中途採用でも、2000万から3000万という異例の高額年俸を得られるような

誇大広告的な求人情報が飛び交っているのも、ここ2~3年のことです。



次に新しいことを、次に世間が驚くことを創りだす

付加価値で勝負する!

開発者には、完璧というゴールはない、果てなく最上級を目指す!


独特の空気のなかで、黒い背景に緑文字が流れる画面に向かう

やるべき仕事は、次から次に生まれてくる

正社員のエンジニアは、日々あふれる仕事を処理しつつ

月残業時間見込み40時間の、給与設定のなかで、仕事をまとめる。


その意味では、ある訪問先企業では、

終電ギリギリの退社時間もめったにないし

土日出勤の必要性もあまり無いなかで、仕事をやり遂げている

もちろん、40時間超える勤務があれば、法定の割増賃金として

支給をするし、休日勤務は振替休日や代休で対応をしている。


管理監督者は、残業や休日労働の対象外になるために、

自分の労働時間については、あまり関心がないままである。


ただ、そこで各部署には、契約社員という雇用形態のもと

勤務している社員がいる。

直接雇用ではあるが、有期雇用契約であって、時間給制の賃金支払いになる。

当然ながら、残業時間は、1時間でも30分でも、割増賃金として対象となる。

仮に時給1600円の契約社員が、同じ部署にいたとします。


正社員もそこそこ、残業はするわけですが、1日2時間程度の残業を

正社員同様に、契約社員が1ヶ月繰り返した場合には、

 >@1600円 × 1.25 ×40h = 8万円(残業手当)

残業手当が8万円となると

基本月額 @1600円 × 160h労働 =25万6千円  に加算されるわけです。

  契約社員の月総額は、 33万6千円ということになります。


そうですね。正社員が30万円の基本給で、残業を35時間していても

残業手当の対象にはならない、仕組みになっていますから、(40h残業含み)

一切の、残業手当は受け取ることができないわけです。



そうなってくると、雇用形態のなかでも、本来の賃金支給は低めの位置にある

契約社員が、実際のところ、正社員のコア業務や、顧客情報に関わる領域まで

立ち入る状態に、エスカレートしていくわけです。

管理者がそこで、うまくコントロールをしないと、正社員と契約社員どおしの

境界線が無くなり、職務価値が逆転してしまう恐れがあります。


結果的に正社員の本業務部分が、「溶解して」、契約社員に流れ出すことに

なってきます。時間投資で処理しなきゃできないことも、契約社員が担当して

しまい、おのずと残業が増えてきて、一方で、正社員は残業もせずに

先に退社してしまうという、不思議な現象が起きてしまいます。


毎月、残業手当を8万円支払うとすれば、年間にして100万円になります。

果たしてどうでしょうか?

同様の契約社員の仕事内容を、派遣社員に割り振るとすれば、

毎月8万円、年間100万円の残業手当を払うことはあり得るでしょうか。

これでは、毎月毎月、ボーナスをもらっているのと同じです。




派遣元会社から、「請求書」が毎月届くわけで、あからさまに、その金額は

直属の上司や、経理部、人事部の目にもさらされることになります。

より明快に、「仕事の与え方、調整がなっていない」という、指摘があるでしょう。


そこに、安易な慣れ合いの風潮が定着して、契約社員に8万円も払って

正社員の月給よりも、高額であるという現象が発生するのです。

労働対価としては、「同一労働同一賃金」をもとに、順守することが自然ですから

給与が逆転することが、悪いわけではないのです。


その現状に至るまで、管理職はノーマネジメントであることに、大きな問題があるのです。

正社員のなすがまま、契約社員も声に出して言えない立場となって、

「低きところに水は流れる」という法則が、働く社員の心理状態にも当てはまるのです。


もっと、業務管理と、時間管理をすることが、マネジメントの重要な項目です。

IT業界では、あまりマネジメント経験の無い若い社員を、会社が抜擢する場合も

あります。

管理職に選任したあとも、プレイングマネージャーであるがゆえに、業務の忙しさに追われて

本来は必須事項の「勤怠管理・業務管理・メンタル管理」などがおろそかになったままで

2年~3年が経過して、会社側も管理職として当たり前のことは出来るようになっただろうと

希望的な期待値だけで、放任していることになる傾向があります。


とても、危険な組織の在り方であって、組織成長や個人の成長も将来には見えてきません。

「残業」という、日常業務には、ふつうにありがちな部分から、それが組織風土に染み込んで

それは、なかなか表面的な改善をしても、土壌に深く浸透しているものならば、

かなりエネルギーを投じて、改善や改革のレベルまで高めて、会社全体で取り組む必要があります。



  「建設は死闘 破壊は一瞬」

  「獅子身中の虫


 組織が身を滅ぼすのは、業界の競争でもなく、不景気でもなく、

 「人が学ばない組織・成長しない組織」であって、

 体内から病んでいき、さいごは致命傷となるのです。